日本にも進出しているイータリーはイタリアから出発し、15カ国で44店舗の展開をしています。
日本ではイータリーの平均的な店と少し違う事をやっているかも知れませんが、私が知る限りではスケールの大きな、イタリア食文化の殿堂を築いています。



このイータリーですが、今週のニュースでは、イギリスの投資グループ「Investindustrial社」が約$200ミリオン(今なら280億円以上)の投資を入れて、52%の主要株主となって傘下に入れました。


現在アメリカでは各地に広がって7−8店舗あり、ニューヨークにはミッドタウン(フラットアイロン地域)とダウンタウンにありますが、コロナで苦しい時期を乗り切ったイータリーと言われています。
アメリカでは2010年にニューヨークのミッドタウンに開店、確かほぼ同時に代官山の店が開いたと記憶しますが、私が視察に行った時にはもう閉店していました。
当時の日本では、世界コンセプトのイータリーではウケなかった様です。
久し振りにそのフラットアイロンの店に行ってみました。まさにヨーロッパのマーケットをここに作っています。



イタリアからの輸入品に加え、本物を店内で作って食べさせ、それを売り、ローカルの食材も最高の商品を集めています。
この店で食事をして、裏切られた事は一度もありません。
ロシアに進出しているアメリカ企業や世界展開をする企業は、少しずつ展開を終了している様ですが、イータリーはウクライナ侵攻直後にリスク回避の為に現地フランチャイズを打ち切り、早々にロシアから撤退しました。
海外リスクを回避する事は、自社を守る為に非常に重要です。
日本企業はまだロシアに残ってますか、早く判断した方が良いです。
イータリーはご存知の通り外食産業と食品小売を合体して、イタリアンの食文化を紹介し、大小各種のレストランで食事をして、その食事で見て食べた食品を買い物させる業態です。
各レストランが開店する前に写真を撮っています。



多くの店で、ステーキもシーフードも出すファインダイニング、カジュアルなパスタとピザのレストラン、カフェにジェラートのコーナーもあり、外食と小売の比率が半々、その多くは外食の方に売上げ比が高く、従って利益率も高いと言われています。
扱う食材では、例えば我々が魚介類を買う場合に普通のスーパーではなかなか手が出ません、鮮度や品質が満足出来るものではないのです。
鮮魚の専門店か日本のマーケット、以外で魚を買えるのはおそらくこのイータリーだけかも知れません。


創業者のファリネッティ家が2代目に引き継いで家族経営していて社長もやっていますが、その社長は会長になって新社長を送る様です。
コロナ中のこの2年半は全く動きを顰めていて寂しかったのですが、人を集めて酒食をエンジョイさせて商品も通常のスーパーでは扱わないコアなイタリアン食材を売るというイータリーは資金的にも苦しかった筈で、コロナが落ち着いた今がチャンスと見た投資会社が作戦を開始するという事かも知れません。



これで貯まっていた負債をクリアにし、潤沢な資金で世界展開を再開出来ると言われています。
こういう人の心を明るくするお店、お金を使ってでもここで食事をしたい、食事をしたものが美味しくて楽しくて、家でも作ってみたいので食材を買っていく、こういうコンセプトが全米に広がって欲しいものです。
このニュースの英語版本文は以下のリンクでご覧になれます。
https://www.restaurantbusinessonline.com/financing/eataly-acquired-uk-based-investment-firm-investindustrial
待ちに待ったニューヨークとニュージャージーで当地域初のアマゾンフレッシュも開店しましたが、アマゾンフレッシュはまだまだこれから開店が続きます。
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転載元の記事
チャーリー下城
東京生まれ、1979年よりアメリカに滞在。飲食・食品小売業等に精通し、小売業、流通、外食産業を中心に日本企業の米国進出の実務や研修を請負う。収集された最新情報は企業の社内誌や飲食業界紙に寄稿連載されている。